プロローグ~破滅の歯車~

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雨が降り続いている―――。 回りに音をたてるものは無い、この街にいた人々はもはや異質にして無惨な死に方をしたためにただの肉塊に成り下がっている。      雨はただ降り続けている。 しかし、その雨も明らかな異質なもの 赤く、紅く、緋(あか)い雨そしてむせっかえるような鉄錆の匂い、 血であろうそれは立ち尽くす少女の全身を血化粧するかのように その身体を真っ赤に染め上げていく。 だが彼女(年齢はどう見ても3歳といったところだろう)は唇の端を歪ませながら不気味に笑っているように見える。 その目は酷く虚ろでまるで血塗れ人形が微笑しているようだった。 彼女は一言 『紅き牢壁―――。』と言い手を地にかざす。 突然割れたアスファルトの大地から無数の赤い閃光が溢れ彼女もろとも飲み込んで行く。 半秒で光は街ごとを飲み込む、そしてもう半秒で街は姿を消した中心に倒れた彼女を残して――――。
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