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十一月の夜の街。
幾つものビルに囲まれた薄暗い路地裏には冷気が溜まり、表よりか幾分肌寒く感じる。
何時もならば車の音も響かないようなこの場所に、今日は罵声と堅い物同士が衝突する鈍い音が聞こえていた。
「テメェいい加減にしろよ!!!」
長身で体格の良い男が拳を振りながら罵声を浴びせる。
拳は頬に当たり、ガツッと鈍い音が響いた。
殴られた方は衝撃で後ろの壁にぶつかり、頬を押さえながらよろける。
茶髪で髪が長く、背も高いのだが衝撃に耐えうるほど体格は良くない。
だが顔を上げた時、口から血を流しつつも少し笑っているように見えた。
「テメェッ!!何笑ってやがんだ!!!」
その不敵な笑みが頭にきた男は、恐ろしい顔を更に鬼のような形相に変えて再び拳を奮う。
そして回りにいた三人の男達も加わり、茶髪の男に蹴りなどを喰らわせる。
音はしばらくの間続いた………
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