2XX7年、五月某日       -ハグルマノオト-

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…これを遠ざけなければ。 だけど、どうすればいい? 手の中の銀色の塊をにらみ、必死に考える。 …体を出してでも、投げ捨てるべきだ。 できるだけ遠くに、少しでも遠くに… …ぴりりりりり。 唐突に響く電子音。 手の中で震えるそれが、メールの着信を伝える。 とっさにプラスチックの塊を投げ捨てるよりも先に、 その発信者と件名に目が釘付けになる。 『  /みツケたヨ』 件名と"声"が重なって聞こえた。 ぎち、 骨が軋むような強い力で腕を掴まれ、千切られそうな勢いでテーブルの下から引きずり出される。 頭を椅子の脚に強打し、視界が一瞬白くなる。 …その先で見たモノは、そのまま気を失っていた方がマシだと思った。 『みツケたよォ』 自分の胴体ほどに巨大な"顔"が、不快な猫なで声を紡ぎ出す。 …逆さまになった顔の構成。 輪郭は下向き、しかし縫い付けられた"目"は頬に。 鼻梁は上を向き、額についた巨大な"口"がにこやかに。 生臭い息を吐きかける。 「……っ!!?」 声にならない絶叫。 もう自分が叫んでいるのかさえ分からない。 限界に達した脳はそれ以上の情報の流入を拒み、 意識はそこで、ぶつりと途切れた。
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