879人が本棚に入れています
本棚に追加
スケジュールは見事に丸空き、多少でも収入と暇つぶしになるなら、肉体労働も嬉しいもんだ。
だが、肉体労働なら先に飯を食わせてくれ。
じゃないと餓死るぞ、俺は。
「…シロさぁん…電話ぁ…」
…最早動く気力もないらしい。
俺だって昨日の昼から何も食ってないんだぞ?
…もう文句を言う気もなくなり、貴重な体力を使って椅子から立つと…
くらり、
視界が歪み、思わず片膝をついた。
…椅子に座って半日。
貧血か脱水症状か。
自分じゃさっぱりわからない。
さっきまでサイコを馬鹿にしてた意地で立ち上がり、ソファーまで辿り着くと。
あお向けに寝転んだサイコが、腹丸出しで携帯をこっちに差し出していた。
オマケにソファーでぐだぐだしてたせいか、スカートがずり下がってピンクのパンツまで見える。
恥じらいを持て、恥じらいを。
うーだのあーだのうめいてるサイコから携帯をむしりとり、
「…はい、柊…」
『おいヘボ探偵!
貴様の事務所はどうなっとるんだ!!』
鼓膜をつんざくような中年男の怒鳴り声。
思わず携帯を耳から離す。
…夏だってのにこのオッサンは。
そんなに元気なら俺にカロリーを分けてくれ。
最初のコメントを投稿しよう!