第1章

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1本道を歩いていくと、校庭に居た生徒達の騒ぎ声が徐々に遠くなってきた。 さらに歩くと生徒の声は全く聞こえなくなり、代わりに聞こえてくるのは、左右の雑木林から聞こえてくる鳥のさえずりくらいだった。 周りから隔離された静か過ぎるその空間は、まるでそこだけ時間が止まってしまったようで不思議な感覚だった。 しばらく歩き続けて、俺はやっと旧校舎の前までたどり着いた。 長い間使われていなかった木造の校舎は、所々腐っており酷くさびれていた。 辺りを見回して見たが少女の姿はなかった。 旧校舎に近づいてみると、正面玄関が少しだけ開いていた。 正面玄関を開け、中を見てみるとたまった埃に1人分の足跡が奥に向けてくっきりと残っていた。 「やっぱり…中に入ったのか」 俺は足跡をたどって旧校舎の中へと入っていった。
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