第1章

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委員長の号令で2限目が始まった。 俺は授業中ずっと朝の少女の事を考えていた。 別に一目惚れしたとかそんな理由じゃない。 ただ、少女の碧い瞳がとても悲しげで…昔の自分の姿と重なりどうしても気になっていた。 午前の授業はずっとその少女の事が頭から離れず、そして昼休みになった。 「シン、学食に飯食いに行こうぜ」 「どうせ、今日もお弁当ないんでしょ?いこ」 理香と彰がいつものように学食に誘って来た。 「ああ…じゃあ行くか」 俺は席から立ち何気なしに窓の外を見た。 「あいつは…今朝の」 校庭の横の小さな雑木林の奥に今は使われていない旧校舎がある。 その旧校舎へ続く1本道の閉鎖された門の前に今朝の少女が立っていた。
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