始まりの出会い

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始まりの出会い

その世界には、決して越えてはならない境界があったと言う ある時、一人の少女がその境界に触れその身に刻印を刻まれたらしい 『不老不死』 老いることも死ぬこともない 一見夢のような話に見えるが その実、刻印を受けて以降彼女には生き地獄が待っていた 幾度にも及ぶ実験・・・ 死なないということは、逆に言えば何をしようが死ねないということ たとえ、生きたまま心臓をとられようが 水槽の中に閉じ込められようが 火のついた炉の中に入れられようが 彼女は死ぬことがない それは、生きながらの死の苦痛 彼女の心は、時の流れの中でいつしか壊れて行き もう何も調べることが無くなった頃には 彼女は何かを感じることができずにいた その数日後・・・。 彼女は実験場から解放された 廃棄品として。 世に放たれた彼女が、最初に目にしたものは、何百年も経ち変わり果てた 自分の故郷の姿だった・・・。 その後、世界に絶望した彼女は、消息を絶ち 今はこの世界に存在するのかさえも全ては時代とともに消え去ったという
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