一『九十九』

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「玲菜ちゃん、『令』が確かに下ったのは事実だけど、実際に私達が動くのは夜なんだから、今からピリピリと気を張ってると夜にはもたないよ?」 「わ、わかっていますわ、それくらい!」 「それと、あたしのことは『天見さん』じゃなくて、『愛流』! 幼馴染みなんだから、名前で呼んでよ~」 「それはお断りしますわ。私(わたくし)が貴女のことをどう呼ぼうが私の勝手ですわ!」 「むむー、玲菜ちゃんのイジワル~!」  愛流は玲菜に名前を呼ぶのを拒否されて頬を釣り上げられたフグのようにぷぅと膨らませる。  この名前で呼ぶ呼ばないのやり取りは日々、暇さえあれば行われる。この日頃のやりとりのお陰か玲菜からのピリピリと気を張った空気が消えた。 「……あの、この後どうします?」  智が先輩二人のやり取りが落ち着いたのを見計らって恐る恐る言葉を発した。 「!」 「!!」  智の言葉で愛流と玲菜は三人が集まった目的を思い出し、一瞬固まる。 「えっと……」  一瞬固まった先輩二人に対して智はどう言葉を続ければよいのか困惑してしまった。
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