プロローグ

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 普段は船乗りや人足でごった返す港は、今は武装した役人たちが走り回っていた。  その中で、両手を縄で括られた男が彼らに追われている。  あからさまに逃亡者然としたその小柄な男は、ぐるりと辺りを一瞥すると、荷の積み込みをしている一隻の船に目をつけた。 (フローリア行き……? まあ何でもいいや)  逃げ切れるのならば。  どうせ港の出入口は封鎖されているだろう、男――ジイドは、木箱の林へ向かって走り出した。  
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