霜月風夜の前途多難

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「…良い?この真実を知っているのは私達を含め多くはないわ」 彼女はそう言う。 確かに事実だが、コイツは周りを気にしすぎだと思う。 「だから、全力で周りを見ていなさい」 命令で言うその口調。 アイツを見るのは良いが、少しは自分の周りも見てほしい。 「分かっているの?霜月」 「あぁ、分かってるよ」 ―桐野煌希。 唯一無二にして俺が好意を寄せる相手。 これが『恋』と呼ばれる感情なのかは分からない。 でも、確実なのは他の人間とは違うこと。 俺達の家系は有名な資産家で、その頂点の家、睦月家の嫁であり桐野の親友である白波星。 桐野が心配しているのはそいつのこと。 星とは睦月の件もあって付き合いは長いが、桐野の様な感情はない。 …まぁ、睦月と結婚してるから人妻だし、手は出せねぇよ。 出す気はないが。 桐野は星が体が弱いこともあってか、凄い心配性だ。 …振り向かせるのは辛いぞ…。 霜月風夜の前途多難。 いつか、必ず…。
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