―王子様―

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暗いよ、狭いよ…怖いよ…。 助けて…、春兄…っ。 いつからか、もう忘れた。 気付けば真っ暗で、体の自由も利かない。 動けない、声が出ない。 恐怖が襲う。 「…白波星か?」 誰?なんて訊(キ)けなかった。 男性特有の低い声。 暗くて顔も見えない。 …誰…? 「…まぁ、違ってたら困るわけだが」 溜め息混じりの声が響く。 恐らくそれ程広い場所ではない。 「悪いけど、利用させてもらうよ」 …何を?どうやって? 色んなことが脳内を駆け巡る。 「…睦月咲春を陥れる為には白波星、お前を使うのが手っ取り早い」 よく分からないけど、とにかく、春兄が目的なのは分かった。 ―春兄が危ない! 私がここに居たら春兄が危険になるんだ。 …どうしたら良い? どうしたら、春兄は危なくならない?
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