―王子様―

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「…ありがとう」 「何のことだ」 もうっ。私はちゃんと言ってるのに。 「助けてくれて」 恥ずかしくてギュッと春兄の肩の方に顔をうめる。 「…あぁ。礼の必要はない。大切な、星だから」 余計に真っ赤になる私の顔。 春兄は楽しそうに笑ってる。 「………漸(ヨウヤ)く、後二年か…」 春兄が何か呟いたけど、私はそれを聞き取れなくて、春兄に聞き返す。 「何?何言ったの?」 「………何でもない。気にするな」 うーん…春兄が言うなら…。 そう思い、追求を止めた。 「偉い偉い」 子供の様に頭を撫でられる。 私もう十四歳だよ? そんなに子供じゃないもんっ。 「今日はウチに泊まれ。天さんには俺から言おう」 お泊まり?春兄のお家に? 「うん、行くっ」 悲しい辛い話しはおしまい。 私達は、ちゃんと立ち止まらず、前に進むから。 二年後、十六歳の私が春兄と結婚したのは、また別のお話。
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