―こんにちは―

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「天(ソラ)!」 「は…はい!?」 突然のことに星の母、天は声が裏返った返事をした。 「星ちゃんをウチの子に下さい!」 「は…はい?」 聞き間違いかと思った。 星は今年でようやく歳が二つになる。 咲春もまだ七つ。 どう考えても早すぎる。 そして、本人達の承諾なしに決めても良いものなのか。 「咲春は今まで誰にも笑わなかったわ。母親である私にもよ?」 信じられなかった。 そんな子供が、居るのか。 「それが初対面の星ちゃんに笑った。これは運命としか思えないわ!」 シリアスムードぶち壊し。 桜花は満面の笑み。 天は溜め息しか出ない。 「…まだ保留にしない?子供達の意志がはっきりして、二人が承諾してからよ」 桜花は元気で天は落ち着いている。 全く性格の違う二人が何故ここまで仲が良いのかはまた別のお話。 「それより…どうする?咲春、星ちゃん気に入ったみたいよ?」 天が咲春に星を渡してから少し時間が経っている。 未だ星を離さず、包み込む様に抱き抱えている咲春。 疲れたのか星を抱えたまま壁を背もたれにして眠っている。 「…人前で自分の無防備な所は見せない子よ、相当心許してるわね」 抱えられている星も、泣いていたのが嘘の様に穏やかな表情で眠っている。
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