―こんにちは―

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「家が隣になったついでよ。星ちゃん、咲春に面倒見させてくれない?」 極普通の一軒家の隣には大豪邸が立ちはだかる。 因みに、星の方が普通の一軒家、咲春の方が大豪邸だ。 「まぁ、子供の方が大人より近いから…。良いわ、任せる。けど、親として最低限のことはするわ」 はっきり言い切る天。 桜花は嬉しそうに笑っている。 「言い忘れてたけど、星には兄がいるからね」 「…へぇ…、咲春もこれは前途多難?面白いわ!」 「月斗(ツキト)って言うの。歳は咲春君と変わらないから、宜しくね」 「…で、月斗君はやっぱり…」 「星が大好きよ」 言いたいことを汲み取って先に説明する。 噛み合っていない様な二人の会話はちゃんと噛み合っていた。 「さてと。咲春お願い出来る?私これから仕事なの」 「あぁ、成る程。任せて、ウチで寝かしとくわ」 「じゃ、お願いね」 さっぱりとした様子で帰る桜花は振り向かなかった。 「私も帰りましょ…あ、どうやって運ぼうかな、これ…」 二人を視界に入れると、家の扉を開けに行く。 「灯斗(テイト)さん、運んで」 「あぁ、睦月(ムツキ)の子か。大きくなったな」 「良いから早く」 「了解」 穏やかな笑顔から始まる物語。
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