―こんにちは―

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「おはよう、星。あ、睦月さんも。おはよう御座います」 一人の少女が校門に立っている。 星より少し高い身長。 少し大人びた印象を持つ彼女は、容姿に比例して良く周りを見ることが出来る、星の友達で性格としてもとても良いパートナー。 親友と呼べる仲なのは彼女しか居ない。 「おはよう、煌希(テルキ)」 桐野煌希(キリノ テルキ)。 桐野財閥の一人娘で、一人っ子の割りにはとてもしっかりしている。 咲春が安心して星を任せられるのは、彼女しか居ない。 「いつもより遅いけど、どうかしたの?」 ちょっとした変化に気付き、責めるのではなく受け入れる様に尋ねる。 「煌希ー、今日ね…お母さんが起こしてくれなかったの!」 「成る程、寝坊ね」 「うぅ…直球過ぎるよ…」 項垂(ウナダ)れた星に笑いながら「ごめんね」と言っている。 その様子を微笑ましく見守る咲春。 いつもと言えばいつもなのだが、こうした何気ない毎日が大切なのだと思う。 「…ぅあ!」 突然声を上げる星。 咲春は何事かと思い、向けば星も咲春を見る。 「…?…どうした」 「…お…怒らない…?」 自分が怒る様なことをしたのかと逆に驚く。 無言では話が続かない為、咲春は促(ウナガ)す。 「で、どうした」
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