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「……いっ!おいっ!静馬!」
「ん?」
「待ち時間とはいえ、折角、柴田様や前田様が稽古に来て下さっているんだ、ボーとしているとお叱りを受けるぞっ!」
「あ、あぁ、悪い」
俺の名は静馬。織田家の足軽だ。元々は尾張名護屋(おわりなごや)の農民の3男として、生活していた。しかし、このご時世農民の暮らしは楽ではなく、3男の俺は肩身が狭いってわけ。そんな中で織田の殿様が兵士を募集してるって高札(こうさつ)を見て、即応募したんだ。俺は戦向きだとも思うしね。身長190㌢の体は人より2回り位でかいし、力も村1番だったから、うってつけさ。そして、めでたく織田家に入った俺は前田様の部隊に配属された。
んで、今日は訓練に前田様や織田家重臣の柴田様が来てくれているってわけ。さっきから横で冷や汗を流しているのは、俺の幼馴染みで竜矢。俺と同じく農民の次男でやはり同じ理由で足軽になった訳だ。
「おいっ!次はそこのでかい奴っ!」
「俺?」
「お前以外にでかい奴はおらんだろうがっ!相手をしてやろう。さっさと来んかっ」
どうやらご指名らしい。相手は、鬼柴田こと柴田勝家様。光栄だねぇ。俺はスッと立ち上がり、前へと進んだ。そして獲物を構える。
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