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「ヒューヒュー!こっち向いて」
「お嬢!最高!」
「え~では、ご紹介をします…。彼女は、かの上之宮財閥の令嬢…上之宮玲奈さんです!今日よりうちのクラスのクラスメートになるので、皆さん宜しくお願い致します」
再び男性陣からの揶揄が飛び交う。
彼女は、それを鼻で笑うと綺麗なブロンドの髪をかきあげた。
「「おおーっ!」」
「なぁなぁ…ひかる…いい女だと思わねえ?」
声をかけて来たのは、すぐ近くに座る同じサッカー部の彩芽剛(いろどめ つよし)であった。
彼はひかるとは親友で、サッカー部の中でも大の仲良しであった。
無論、ひかるよりは背が高いが、何てったって顔が痘痕面(あばたつら)なので女子には縁のない男であった。
「ふっ…そんな事ねぇよ。あの異様なオーラに騙されてるだけだぜ!下手に手つけりゃああ言うタイプは、痛い目を見るんだ」
「そ…そうかぁ?俺はあんな女に…××やら○○やら、やられてみてぇなぁ…」
ひかるは、妄想に耽る剛を白い目で睨んだ。
「お前は、変わり者だな…」
そんなひかるの目線は、自然と愛流の方に注がれていた。
その後に玲奈が、一歩前に出て自ら挨拶をし始めた。
「え~この度、ご紹介に預かりました。上之宮玲奈ですわ。皆様、宜しくお願い致します事よ…」
その挨拶を聞いて、ひかるは何故だか虫酸が走った。
(けっ…お高くおとまりやがって…)
挨拶をし終わった玲奈は、一通りのクラスメートの顔を見渡す。
(いない…このクラスにはいないのかしら…)
彼女は、さっきから誰かを探しているようだった。
その時、鼾をかいて寝ていた愛流の跳ね上がった髪が、ピョコリと僅かに反応して揺れ動いた。
何かの気配を感じた愛流が、寝ぼけ眼のまま起き上がる。
「…ほにょ?!」
辺りを見渡した彼女は、何も危険がない事を確認すると再び眠りについてしまった。
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