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何やかんやで部活動を終えたひかるは、高校の校門を出て、1人夕暮れの街並みの家路を急いでいた。
「ふ~…今日も疲れたなぁ…」
相変わらず学ランの前ボタンを全部外し、バックを片手で吊しながら背中に背負って歩いていたひかるであったが、その彼の視線の向こう、蒼空殻山の上空に光り輝く飛行物体を見つけた。
「な…なんだ!?あれ!!」
それを見つけるや否や、ひかるは、一気に蒼空殻山に向かって走り始めた。
光る物体は、その降下速度をあげながら真っ赤に燃え、山の向こうの中腹辺りに落ちて行った。
「落ちた!…落ちた落ちた!」
ひかるは鞄を翻しながら、全速力で駆けて行った。
途中、蒼空殻不良三人組に、たまたま商店の前で出くわした。彼らは自販機の下に落ちているコインを拾おうと躍起になっている所であった。
「おい!…あれ…サッカー部のキャプテンのひかるじゃね?」
1人の不良が、かがみ込んでいた仲間に声をかけると、他の2人も顔をあげ、走ってくるひかるの方に顔を向けた。
「おい!ひかる。何そんなに急いでるんだ?」
ボス格の不良が、走り去るひかるに声をかけると、彼は走る速度を落とすことなく振り向き様に答えた。
「落ちたんだよ!何かが!」
辛うじて彼の言葉を聞き取った不良三人組は、お互いに顔を見渡した。
「何が落ちたって!?」
「さあ…」
聞かれた子分は、首を傾げてそう言った。
その刹那、ボスの拳が子分の頭頂部に降り注ぐ。
「い…痛っ!」
「馬鹿やろう!良く聞いとけや!」
子分は、その拳を指差し言った。
「今…落ちた…その拳が…」
ひかるは、じゃれる彼らを後目に、その物体が落ちた場所へと急いだ。
蒼空殻山に近づいて行くと、まだ落ちた場所には煙が立っており、くすぶっているようだった。
「あそこか!はぁ…はぁ…待ってろよ狼煙!」
ひかるは、訳の分からぬ事を口走りながら、目的地へ急いだ。
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