PROLOGUE

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奇妙な道化師は、鋼鉄の口を開いた。 「また……やって参りましたねぇ」 白い空間、白い椅子、白い机。全てが白い。 どの程度の広さを備えているのか、もはやそこが『現実』として存在するのかすらあやふやな世界。 しかし、確かにそこには23の人影がいた。 『人』だ。 容姿は。 このような書き方をするのは、彼らが人のようで人でないことを示唆しているのは言うまでもない。 ――そう 「あれ? もしかして『愚者』サンはまだこのくだらない戦争、やってるんですカ?」 馬鹿にしたような一人の問い掛けに、椅子から立ち上がったその張本人は反応を見せず無言で道化師の傍へ歩いていく。 ――彼らは人間ではない どうやら椅子に座った22人と直立して動かない鋼鉄のお面と鎧を纏った道化師は立場が違うようだ。 「さっさとしろ」 『愚者』と呼ばれた長身の青年は、黒と灰のツートンカラーのワカメ頭を揺らして何かを急いている。 ――彼らは 「おほほほほ、そう焦らなくても大丈夫ですよ」 道化師はどこからともなく、指を鳴らしただけで両開きの絢爛な扉を出現させた。 「それでは、始めましょうか。……『アルカナ戦争』を」 ――彼らは『アルカナ』。人に似て人に非ず そして、『人』の地に降り立つ――
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