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―――2015 春
何の変哲もないその夜から、この物語は始まる。
先端技術に特化する臨海副都心。
舞台は整った。
闇夜に浮かぶ人影。しかしそれは普通の人間には見えない。
何故なら―――
「おほほ! 今回も『アルカナ戦争』の舞台はこの街に致しましたよ。皆さんも馴染みがあるでしょうしねぇ」
独特のステップを踏む道化師。
その手には、13枚のタロットカード。
「皆さんの『支配人』は既に決めております」
そして道化師はカードを空に放った。
カードは何かに操られるように、それぞれの方向へ飛んで行った。
「では、行ってらっしゃいませ」
「いずれまたお会いしましょう。おほほほほほー!!」
奇妙な甲高い笑い声を放ちながら、道化師の姿は闇に紛れ、やがて見えなくなった。
1枚のカードはある家の窓へ向かっていた。
上手にその窓の隙間から入り込み、部屋の中にある椅子の上に落ちた―――
《0》『愚者』のカードが。
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