1,人は見た目が九割

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「あ、危なかった……!」 全力で走ったら五分で学校に来れたよ……初日から遅刻なんてできないしな。 火事場の馬鹿力ってこのことをいうんだね、うん。 「で、着いたはいいけどどうすりゃいいんだ? 教室の場所なんて分かんねーし」 学校の校門前。 周りにはおそらく自分たちと同じ新入生であろう人達がちらほら。 「おい、校門に何か貼り紙が貼ってあるぞ」 貼り紙? お、あれのことか。 何々……? [新入生は各自講堂に入り、そしてそこで教師らの指示に従って動いて下さい] 「講堂か……。むむ、あそこだな。よし、行くぞ夕」 「おーぅ」 校門を過ぎて、正面に校舎。その向かって右側に講堂はあった。 講堂の入り口では、若い小柄な女性の人が受付をしていた。 「お、君たち新入生だねー? んじゃあ名前教えてくれるかな?」 「俺は萩坂夕です」 「私、市井海里と申します。趣味は子供たちと遊ぶこと、特技は逆立ちで町内一周。好きなタイプはロr……見た目年下の方です。以後お見知りおきを」 ちょい待てや。何どうでもいいことまで言ってんだこいつ。てか逆立ちで町内一周ってすげぇな。 それとお前最後絶対ロリって言いかけただろ? ほら、この人若干引いちゃってるじゃん。 「えと……あぁ、うん、おっけー。そしたらね、中に入ったら椅子が置いてあるから、自分の名前が書いてある紙が貼ってある椅子に座ってね。五十音順にならべてあるから探すのは簡単だと思うよー」 彼女は名簿のようなものに何かをチェックするような動作をした後、そう教えてくれた。 「分かりました。ありがとうございます」 講堂の中に入り、辺りを見回す。 すでに他の新入生達はほとんど来ていたようで、席はほとんど埋まっている。ざっと見たところおおよそ二百人位いるようだ。 しかしそれでもまだ講堂内は余裕がかなりある。 それほどにこの講堂は広いのだ。 俺達はそれぞれの席に座り、式が始まるのを待った。
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