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これはほんの一部の物語。
一人の少年がいた。
西暦2009年。
日本。
この地においてごく普通の少年。16歳、高校生。
彼が日常という平和から切り離されるのは、目の前に迫っていた。
(来い…)
「またか…」
少年は不思議に思っていた。頭の中に響く声。それが何なのか、何故に聞こえるのか、普通ではありえないはっきり聞こえる声に、なぜか懐かしさを感じていた。
「行人ー!」
ふいに声を掛けられ少年は振り向いた。
「んあ?おっ…おっす!」
「よぅ行人。だいぶ寒くなってきたなぁ」
(来い…)
「ちっ…」
「どうした?」
「いや、何でもない」
(来い…我々は待っている)
「ぐっ…なぁ、何か聞こえたか?」
「何も。どうしたんだ行人?ボケたか?」
行人(ユキト)。そう呼ばれた少年は確信した。この声はやはり自分にしか聞こえてない声だと。
「悪い、先行っててくれるか?」
「なんだ?顔色悪いぞ?」
「気にしないでいいから」
「変なやつだな。今日は校門に立ってるのは鬼生徒会長だからな!遅れんなよ!」
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