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行人は声を掛けてきた少年の背中を見送っていた。
「なんだってんだ今日は…。やけにはっきり聞こえる」
行人は違和感を感じていた。頭の中に響く声は今に始まったことではなかった。ただ、前よりも今ははっきりと声が聞こえていた。
聞いたことはない。しかし懐かしい声。いくら考えようともその声の正体はわからない。
(来い…。我々はお前を待っている…。さぁ、来るのだ)
「頭が…。割れるように響きやがる」
(さぁ!…来るのだ…!)
「ぐっ…痛ぇ…。行ってやるよ!行ってやるからどうにかしてくれー!」
行人がそう叫んだ時だった!行人の体が光輝き…次の瞬間!
シュパンッ!
行人の体はその場から消え去った…。
(我々は待っていた。さぁ我々よ。我々の元に…)
行人は消えた。普段の学校への通い道の出来事だった。
# # #
(どこだ…ここ…)
行人は何もない空間を漂っていた。あるとすれば一面の暗闇のみだった。何も感じない。ただただ真っ暗な空間。目を開けているのか閉じているのかもわからない。
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