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(何が…起こってるんだ)
いくら考えてもおかしい。現実にはありえない事に対峙していた。
地に足がついている感覚もなければ、自分がどちらを向いているのかもわからない。
(死んだ…?)
自然に思いつくことだった。夢などとは思わなかった。何故ならば先程の声ははっきりと耳に残っていたからだ。
現実…。
それだけはわかる。自分の身に起こっていることは紛れもなく現実だと。
(うわっ!)
突然だった。
行人は自分にかかる重力を感じた。そして悟った。
落ちていると。
不思議な感覚だった。確かに落ちている。だが不安はなかった。どこまでも落ちているのだが。
(うっ……)
急に目の前に光が広がる。今までの暗闇とは一転して眩し過ぎる程の光。
そして…。
ドスン!!
「ぐぁっ!いってーー!………ん?地面…。戻ってきたのか?それとも天国ってやつ?」
確かに地面の上にいる。ただ違うのは草の上に行人がいたこと。今まで当たり前に歩いていたコンクリートはなかった。
「おいおい…どうなってる…」
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