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「くそっ!なんだってんだ!」
混乱しながらも制服を脱ぎ捨てる。
「とりあえず…落ち着いて考えられるところに。広すぎて落ち着かない」
行人は近くに見える森に歩き出した。水があるかもしれない。その目的もあった。精神的疲労は隠せない。ゆっくりと、確実に先に見えている森へと歩みを進めて行った。
(ここは日本じゃない)
季節違いの暑さ。そのことからでも容易に考えついた。わかっているが理解が出来ない。それが正直なところだった。
行人があと少しで森にたどり着く、という時だった。
「グギャァオォォ!!」
突然森の中からおたけびとともに何かが飛び出してきた!
「なっ、ななっ、なんだ!」
行人はそこで言葉を失った。目の前に現れたのは狼。実際に目にしたことはなかったが、まさしくそれであった。
ただ、巨大な…人の身長くらいはありそうな巨大な狼。
行人の身長は175cm。目の前の狼が後ろ足のみで立ち上がれば、裕に行人の倍の高さはあるだろう。
「じょ、冗談だろ?」
見たことも聞いたこともない巨大な狼。それが目の前にいる。それは紛れもなく現実だった。
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