ジーナ

6/53
前へ
/102ページ
次へ
「くそっ!なんだってんだ!」 混乱しながらも制服を脱ぎ捨てる。 「とりあえず…落ち着いて考えられるところに。広すぎて落ち着かない」 行人は近くに見える森に歩き出した。水があるかもしれない。その目的もあった。精神的疲労は隠せない。ゆっくりと、確実に先に見えている森へと歩みを進めて行った。 (ここは日本じゃない) 季節違いの暑さ。そのことからでも容易に考えついた。わかっているが理解が出来ない。それが正直なところだった。 行人があと少しで森にたどり着く、という時だった。 「グギャァオォォ!!」 突然森の中からおたけびとともに何かが飛び出してきた! 「なっ、ななっ、なんだ!」 行人はそこで言葉を失った。目の前に現れたのは狼。実際に目にしたことはなかったが、まさしくそれであった。 ただ、巨大な…人の身長くらいはありそうな巨大な狼。 行人の身長は175cm。目の前の狼が後ろ足のみで立ち上がれば、裕に行人の倍の高さはあるだろう。 「じょ、冗談だろ?」 見たことも聞いたこともない巨大な狼。それが目の前にいる。それは紛れもなく現実だった。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加