魔法の証明

11/15
前へ
/84ページ
次へ
「な、学会の人間か!?」 「元、な。今はちげーよ」 「今はフリーターだもんね」 「うっせえよっ」  横から茶々を入れられたが、気を取り直して手に力を籠める。 「十秒待ってやるよ。その間にどっか行きやがれ」  十。呟くように数字を溢す。 男はああと、何かに納得したように笑みを浮かべた。 「そうか……お前が噂の主様か」 「九」 「何でも最年少で学会入りしたがすぐに抜けたとかいう……」 「八」 「堕落した天才、とか言われてたな」 「七」 「魔法を否定したんだってな」 「六」 「馬鹿だな。科学と魔法の融合はきっと進展に繋がる」 「五」 「科学なんてな、魔法の前では何の意味も――」 「ゼロ」  重たい音が響いた。反動で腕が跳ね上がる。  風を切る音とともに走った銃弾は、男の頬と耳を切り裂いた。後ろに止めてあった車に着弾する。遅れて悲鳴が唯と人質から漏れた。冬樹は悪びれた様子も無く、切り裂かれた頬を押さえる男に再び銃口を合わせた。 「悪い、間違えた」
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加