魔法の証明

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「でも学会に戻れたらまた研究ができるんだよ? 他の人だって見直してくれるよ」 「研究ならどこででもできるさ。あんな奴らに見直されても嬉しくも何ともないね。それに俺はこれを証明できる自信なんてないぞ」 「え、うそ」唯は大きな瞳をぱちくりと瞬く。 「冬樹ならなんでも証明できるかと思ってた」 「んなわけあるか。神様じゃあるまいし……。今じゃただのフリーターだ」  決してニートではないと自負している。働く意欲はあるのだ。ここでやっと、唯は笑みを見せた。 「十九歳でフリーターかぁ。先が思いやられるね」 「ほっとけ」 冬樹はぶっきらぼうに言い、唯の手にある手紙を奪った。唯が何か言う前にゴミ箱に捨ててしまう。 「ああっ、だめだよ冬樹!」 「いいんだ。ほら、さっさと片付けようぜ」  辺りは段ボウルの箱で、元より狭かった部屋が更に狭くなっていた。築何十年かは知らないが、その古さを表していた壁や畳も、段ボウルに埋もれて見えない。
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