魔法の証明

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 このアパートの二階の一室であるこの部屋に引っ越して、まだ二日しか経っていなかった。よく自分の居場所を探り当てたもんだと思う。  未練の籠もった瞳をゴミ箱に向ける唯を急き立てながら、冬樹は手近の段ボウル箱を開いた。  昼食は外で取ることにした。まだこの辺りの地理に慣れていないため、探索も兼ねての昼食だ。ポケットに手を突っ込んで気だるそうに歩く冬樹の前を、唯がきょろきょろと興味深そうに辺り見ながら歩いている。 「ねえねえ、お昼は何食べよっか?」 「決めてねえのかよ。外が良いってあれだけ騒いでいたくせに」  えへへ~、と悪びれもせずに笑う唯にため息を一つ落とした。とても笑う気分にはなれなかったのだ。頭の中は先ほどの手紙のことでいっぱいだった。元同僚達の考えに吐き気がする。  できるはずねえだろ……『魔法と科学の融合』なんてっ。  魔法が発見されたのはまだ近年のことだ。誰が第一発見者なのかはわからない。
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