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「はぁ…、どうしてこうなったんだ…何を間違ったんだ……」
そしてようやく自分の過ちを正すべく脂っこいコントローラから手を離して頭を抱え込む。
ギャルゲの面白さを知ったから?
二次元の素晴らしさに気が付いたから?
いや違う。
ハヅキを好きになってからだ。
野球を辞めてからだ。
。
考えがそこにたどり着くと同時に、部屋の隅で埃まみれのバットとグローブが視界に入る。
「くそー!!俺が何をしたんだよ!!!頑張ってきたじゃないか!死に物狂いで練習してきたじゃないか!!」
ガシャン!!
バットを手に取り振り回す。
本棚やテーブル等をめちゃくちゃに叩きまくる。
形を整える為にボールを入れてバンドで止めてあるグローブを壁に投げ付ける。
「俺が何をやろうが俺の勝手だろ!みんなして野球辞めた俺を哀れな目でみやがって!キモオタ野郎だってか!?ふざけんな!……ふざけんなよ……」
画面の朧げな光の中で泣いていた。
気が付いたら泣いていたのだ。
わかっていた。みんなが言うろくでなしは俺の事だって。キモオタって俺の事だろ。
わかってるよそんなことはよ。だって俺が1番受け入れられていないんだからよ…。
俺はふらつく足取りでベランダへと出る。
「なぁ…俺がイケないのかハヅキ?俺がお前に内緒で野球辞めたのがイケないのか?」
だから二年間ずっと無視してきたのか?
嫌がらせのように澄み切った綺麗な星空を見上げる。
涙で木漏れ日の中を歩いてる見たいになりはじめた視界の中で、俺は野球を辞める原因になった二年前のあの茜色に染まる放課後の事を思い出す。
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