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あの日、俺は教室に忘れ物をしたのに気が付き練習を抜け出して取りに行った。
その忘れ物とは、ハヅキから貰った大切なお守りで、机の上に置き忘れたから無くなったらまずいと思ったから慌てて教室に取りに戻ったんだ。
そしたらさ、教室に俺を練習にそそくさと行かせたハヅキと野球部のキャプテンが二人だけでいたんだよ。
それだけなら全然良かった。
だけど、ハヅキが俺が机の上に置き忘れたお守りをキャプテンに渡してさ、それをキャプテンがポケットん中に入れてお互い笑みを浮かべたんだ。
たまたまそれを目撃した俺は、次の日に誰にも何も言わず野球部を辞めた。
もちろんキャプテンとハヅキにはそのことは言わなかった。
だってダサいだろ。野球を辞める理由がハヅキとキャプテンが付き合いだしたからなんてさ。
結局それからハヅキとは挨拶すら交わさないただのクラスメイトに成り下がった。
「お前が…お前がイケないだぞ!あんな事しやがって!俺はお前の喜ぶ顔が見たいから頑張ってきたのに……こんなの酷いぜ……」
キモオタ野郎…なんてひど過ぎるだろ。幼なじみに向かって気持ち悪いって…。
でも、あいつなんで練習抜け出してまでわざわざ来てくれたんだろ?
涙を拭きもう一度星空を見つめる。
その時だった。
「お、流れ星!」
ちょうど三日月の先端から一筋の流れ星が、夜空を横切ろうとした。
流れ星が消える前に三回願い事が言えれば叶う。
不意にそんな迷信が頭を過ぎり実行してみる。
「ハーレム学園の主人公になりたい、ハーレム学園の主人公になりたい、ハーレム学園の主人公になりたい!俺を二次元に入れてくださ~い!!」
今までの悔やみなど嘲笑うかのようにそんなくそ長い願い事を大声で叫ぶ。
…もう、腐り切ったらしいな。俺の人間性など…。
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