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ま、そんな迷信など信じていた訳じゃないし何より流れ星が消えるまでに三回も言えるわけがない。
と、きっちり言い終えて駄目元で再度流れ星が見えた三日月先端を見てみるとだ。
「お、言い切った!しかもこっちに向かってきた…向かってきた!?」
見事に任務達成だ。流れ星はまだ健在だった。のだが、何故か平面的な動きをやめて立体的な動きを始めた。
最初はそのまま空を横切るのかと思いきや上下に動いたり右往左往したり不可解な動きをしたら今度はこっちに向かって進んできた。
「マジか!ついに摩訶不思議な魔女っこ登場!?月からの使者!?エーリンキター――」
もはや流れ星の事など関係なく。
俺は摩訶不思議な物語が始まったんだ。
ついに魔女っこが居候しにきたんだ。
弾幕系シューティングゲームがリアルで出来るんだ。
とか、ハッピーな妄想が頭を支配していた。
そんなバカな俺をもっと喜ばせるべく流れ星…いや、隕石はどんどん近づいてくるのだ。
「うひょー、空き地に堕ちた~!!!」
人間性が地に堕ちた。の言い間違いだ。
直径十メートルくらいの黄金色に輝く隕石は俺の頭上を飛行して行くと空き地の方へと落下した。
摩訶不思議な冒険かな~?魔女っこかな~?シューティングかな~?
隕石落下の事態にも関わらず俺は鼻歌を歌いながら空き地へと猛ダッシュした。
その時に限って不思議と息切れはなかった。
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