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「ひひひっ、あんたにはこれがお似合いじゃよ。ほれ、こっちにこんかい――」
腰の曲がった店員は俺が渡そうとした品物に見向きもしないでカウンターへと俺を誘う。
なんだろ…この怪しげな婆ちゃんは…。
ようやく黒衣の店員に不信感を抱いた俺だったのだが、取っておきのギャルゲがあるぞ。
なんて言われたから何の気無しに店員の待つカウンターへと向かう。
「お主の願い叶えてやるぞ。これを差し上げよう」
黒衣の店員から一本のギャルゲらしきソフトを手渡される。
でも、そのソフトにはパッケージがなくただ不規則な線が引かれているだけだった。
そうだな、パズルのピースがはまるような模様だ。
「え、願いってハーレム学園に行けるのか?二次元に入れるのか?俺が神になれるのか?」
「ひっひっひっひっ、澱んだ瞳がお前の心を映し出している。そんなにこの世界が嫌いかい?」
「……」
黒衣越しにも関わらず心を見透かされた気がした。
黒衣から見えるシワだらけの口元がニヤリと釣り上がる。
摩訶不思議な事が始まったんだな…。
と思った。
間違いなく何かが変わる。
そう悟った。
そして黒衣の店員の質問に答えるのだ。
「こんな世界なんか嫌いだ!二次元に入りたいんだ!!ハーレム生活を送りたいんだ!!!」
三方向からカメラで撮られているかのように、上右左とアングルを変えてそう一言ずつ店員に言う。
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