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ん?
一瞬だが、このひまわりを彷彿させる笑みをする妹キャラらしき美少女と、三次元に置いてきた実の妹メイの笑顔が重なった気がする。
「…?どうしたのお兄ちゃん?まだ眠いの?夜更かしはイケないんだよ?うにゃ――」
ひまわりが抱き着いてくる。
きのせいだよな。確かに歳は五歳くらいで近いかもしれないけど、メイってわけじゃないよな?
「あ、あんまりくっつくと恥ずかしいんだけど……」
「うにゃ…、いいじゃんよ~」
それより名前なんて言うんだろ…。さすがに名前を教えてくれなんて言えないし…。かと言ってこのまま抱き着かれているとやばい気がする。
ギャルゲの経験上、つぎのイベントに予想がつく。
《よっと、あ~!!私抜きで何してんの~!?ここは幼なじみが起こさないとイケないんだよ!!》
なんて王道のイベントが、窓からなんの躊躇いもなくなれたように部屋へと侵入するべく窓枠に上る。
「マジか……ビバギャルゲ……」
普段なら悲しい独り言に終わる言葉が、今なら恥ずかしくない。むしろ大声で叫べる。
「あれ~?前までこんな散らかってたっけ?」
ぎくっ…。
幼なじみキャラらしい人物が、逆光を浴びながら小汚い部屋を見渡す。
かろうじてその人物が女の子だと分かる証拠は、背中に見えるパタパタと羽ばたく小さな天使の羽のついた服と高い声だからだ。
でも、非常にまずい訳で、これまた名前が分からないのだ。
だってこっちにくるまえに、登場キャラの名前を覚える時間はなかった。
よく分からない奴に強制送還されたのだから……。
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