第ニ話ー身の程を知れ!

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「お前が望んだ世界だから好きにやれよ。基本はギャルゲと同じようにひとつひとつイベントをクリアすればいいだけ。簡単だろ?」 「うんなこと言われてもな…、俺は何も知らないんだぜ?あの娘達は設定通りに動いてるみたいだけど、俺はあの娘が誰なのかどんな性格なのかも知らないぜ?」 「ホント、攻略本ないとなんも出来ないんだな…これだからオタクは嫌いなんだよ…はぁ……」 溜息を盛大にはかれても困る。 だいたいなんだこいつは。さっきから好き勝手言いやがってよ。 お前の言う攻略本はお前自身なんだろ? 「ったく。良いか、お前は野球を辞め人生に失望した主人公が、周りの人々から助けられて立ち直る。そう言うギャルゲの主人公になってるんだよ。これで良いか?」 「…、なんか心をえぐるリアルな設定だな。まるっきし俺じゃないかよ」 「だから、お前が望んだ世界だって言ってんだろ?主人公!さぁ、イベントは待ってはくれないぜ!?」 なんて透明なカードがそう言うと、脱衣所からユイちゃんの声がする。 「お兄ちゃ~ん、早くご飯食べないと遅刻するよ?ここに制服置いとくからね――」 まだゲーム概要を理解出来ていない俺を、次のシナリオ展開は待ってはくれず急いで脱衣所へと向かうはめになった。
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