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「……、ふ…ふ…ふざけないでよ!誰があんたなんかと付き合うか!!調教ってなによ?バッカじゃないの――」
もう知らない。と、ハヅキは長い髪を靡かせ出口へと向かう。
「ちょっ、ちょっと待てよ!あれ~おかしいな…ゲームでは上手くいくはずなんだが――」
ハヅキの予想外の返答に動揺した俺は、土管からバランスを崩しながら下り何年ぶりに幼なじみの手を握る。
「そうか。もう一回やり直そう。幼なじみがツンデレで素直に成れないのは知ってるからな。ほら、ハヅキ、待っててやるから素直になれよ?」
「……………」
そんなとちくるった俺の言葉に、ハヅキは何も言わずに黙り込んで肩を震わせている。
それを何と勘違いしたのか俺は、震えると言うか振動しているハヅキの肩を抱き寄せ取って置きの愛の言葉を囁く。
「このゲームは俺の勝ちだぜ。なんせお前は幼なじみキャラだからな!!野球なんかよりずっと楽しいことやろうぜ――」
「ゲーム??野球なんかより??」
今まで沈黙を守っていたハヅキだったのだが、感情を抑え切れなくなりぶつぶつ独り言を言い俺を押しのける。
「ぐっ、なんだよ!いくら素直になれないからって殴ることないだろ?」
そして一発殴りを入れるとようやく噴火するのだ。
「このキモオタ野郎!どの面下げて女の子に告白してんのよ!!これはゲーム、だ?あんたついに頭おかしくなったの??ぷっ、気持ち悪い顔しちゃって、もう二度野球って言葉使わないでよね――」
あんたに野球を語る資格も語彙で使う資格もない。と、吐き捨てて空き地から出ようとする。
「な、な、な、なんだよ!オタクはともかく、俺が気持ち悪いだと?嘘だよなハヅキ?」
それを阻止すべく縋るように膝辺りに抱き着く。
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