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「ど、どうしたのよ勇希?ごめん言いすぎたよ。ねぇ、学校いこ――」
「触るなブス!!汚らわしい。シグレたんの足元にも及ばない不粋の女が俺の名を呼ぶな!ま、もともと二次元に敵うわけがないか!ブハハハハハッ――」
何故だろう。なんでこんな事を言っているのだろうか。
初恋の相手になんてひどい暴言を言っているだ俺は……。
「これはゲームだ!今の俺は三次元のキャラだ。俺は自分の世界に帰るぞ!シグレたんが待っている、彼女達が俺の帰りを待っている!」
テレビ画面に映るギャルゲ主人公の姿を思い出す。
そうあれが俺ー本体なのだ。女の子に囲まれてウハウハしてるのが二ノ宮勇希なんだ。
ここにいるのは、三次元と言うゲームのキャラで本当の俺じゃないんだ。
「そうだ、お前も俺の世界にくるか?あっちなら俺といちゃいちゃしても大丈夫だぜ?」
なんてすがすがしい気分で言ってみる。
「バカ!最低…なにがあったか知らないけど、今のあんたは現実逃避してるだけの根性なしよ!二次元にしか俺の魅力が分からない?そんなのあんたが自分を変える努力しないただの言い訳よ――」
ハヅキは泣いていた。
二度と私の前に現れないでよ!
その言葉が最後だった。
天を仰ぎ狂気に支配された俺を見たハヅキは、泣きながら空き地からもときた道を涙を拭いながら走る。
「俺が帰らないと悲しむ子がいるんだ…早く帰らなきゃ……」
なにもかも分からなくなった。
どうして二ノ宮勇希がこうなったのかも分からない。
俺は誰もい無くなった空き地を後にする。
もう二度戻ってはこないだろう。
だって俺は二次元の神なのだから。
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