19人が本棚に入れています
本棚に追加
「明日って2週目の土曜日だから『魔鬼補』だろ? 俺は入ってないぞ」
魔鬼補(まきほ)っていうのは、魔法授業の鬼畜教師による鬼の補習授業――つまり、魔法関係科目の補習授業のことなのだけど、アルカディアはとにかく補習が多い。
魔法を使うには様々な条件や法律があって、その中の一つに『15歳の誕生日を迎えたら、魔法が使えるか否かのテストを受ける。そこで可能性が認められ、魔法の使用を希望するのなら、魔法学校などで学ばなくてはならない』(魔法法より、愛流訳)というものがあるの。
アルカディア魔法学園はこの辺りでは唯一の魔法学校で、可能性があれば誰でも入学出来る。その結果、当然能力の差が生じてしまう訳で。
だから、アルカディアでは土曜日を補習日と定めて、皆が授業についていけるようにしているのだけど……。
その魔法科目の補習を担当しているのが、『時間厳守、遅刻厳禁、授業は厳しく』がモットーで、補習の最後には必ずテストを行い、合格しなければ課題がどっさりという先生なんだよね。
もっとも、玲菜ちゃんは言うまでもないけれど、愛流もひかるちゃんも魔法科目は得意だから、入学してからの1年と半年、1度も魔法科目の補習は受けたことがないから関係ないんだけどね。
まぁ、一般科目は何度かあるけど……。
「魔鬼補が入ってないってことは分かってるよぉ。だ・か・ら、明日行こうよ。時計塔のお宝探し」
「そういうことか。俺は予定ないからいいぞ。玲菜は?」
ひかるちゃんが机に肘を付きながら、手を上げて賛同すれば、
「私も明日は予定は入っていませんから、構いませんわよ」
玲菜ちゃんは笑顔で頷いた。
やった。明日が楽しみ。
待ってろよー、お宝!
最初のコメントを投稿しよう!