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「明日って2週目の土曜日だから『魔鬼補』だろ? 俺は入ってないぞ」 魔鬼補(まきほ)っていうのは、魔法授業の鬼畜教師による鬼の補習授業――つまり、魔法関係科目の補習授業のことなのだけど、アルカディアはとにかく補習が多い。 魔法を使うには様々な条件や法律があって、その中の一つに『15歳の誕生日を迎えたら、魔法が使えるか否かのテストを受ける。そこで可能性が認められ、魔法の使用を希望するのなら、魔法学校などで学ばなくてはならない』(魔法法より、愛流訳)というものがあるの。 アルカディア魔法学園はこの辺りでは唯一の魔法学校で、可能性があれば誰でも入学出来る。その結果、当然能力の差が生じてしまう訳で。 だから、アルカディアでは土曜日を補習日と定めて、皆が授業についていけるようにしているのだけど……。 その魔法科目の補習を担当しているのが、『時間厳守、遅刻厳禁、授業は厳しく』がモットーで、補習の最後には必ずテストを行い、合格しなければ課題がどっさりという先生なんだよね。 もっとも、玲菜ちゃんは言うまでもないけれど、愛流もひかるちゃんも魔法科目は得意だから、入学してからの1年と半年、1度も魔法科目の補習は受けたことがないから関係ないんだけどね。 まぁ、一般科目は何度かあるけど……。 「魔鬼補が入ってないってことは分かってるよぉ。だ・か・ら、明日行こうよ。時計塔のお宝探し」 「そういうことか。俺は予定ないからいいぞ。玲菜は?」 ひかるちゃんが机に肘を付きながら、手を上げて賛同すれば、 「私も明日は予定は入っていませんから、構いませんわよ」 玲菜ちゃんは笑顔で頷いた。 やった。明日が楽しみ。 待ってろよー、お宝!  
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