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「ごまかしてんじゃねぇ。はぁ……もういいや。それで何なんだよ。『大事な用』って」 「よくぞ聞いてくれましたっ! なんと、時計塔の地下にはお宝が隠されているのです!」 「天見、寝言は寝て言えよ」 「愛流さん、熱でもあるんですか」 何だよ、二人ともっ。そこは驚くところであって、呆れるところでも心配するところでもない! 「いやいや。いまさらそんな使い古されたネタを持ってこられてもなぁ。学園じゃ有名過ぎて、話しの種にもならないガセネタだろ」 「よく新入生が噂に躍らされて向かうも、結局お宝どころか地下へ向かう道すらないという話ですね」 だーかーらー、その通路かもしれないものが見つかったんだって。 二人して「何言ってんだ、こいつ」みたいな目で見なくてもいいじゃないか。 「じゃあ、とりあえず信じるとして、どっから拾ってきたんだ? そんな馬鹿な話」 「しー君が教えてくれたんだよ」 「しー君って……静流(しずる)か? ごめん、前言撤回するわ。天見、お前それ絶対騙されてるって」 「静流君がそんな夢物語みたいなことを本気で言うはずがありませんわ。あの現実主義者(リアリスト)の彼が」 名前がそっくりだから、薄々気づいている人もいるかもしれないけれど、しー君こと静流っていうのは愛流の一コ下の弟。 外見(特に顔)はそっくりだけど、中身は全くといって良いほど正反対。もの静かで、頭の回転が早く、超のつくほどの現実主義者。 あっ、だからって愛流が煩くて頭の回転が鈍くて、夢ばっかり見ているわけじゃないからね!  
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