第一章 終わりと始まりのサイレン

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2007年8月10日午後2時30分……天気は晴れ。 中学最後の試合。 三鷹中学VS甲欄中学 一弥のチーム、三鷹は、1点リードで六回裏を迎えていた。 カウント1-3 ツーアウト フルベース バッターは、相手チームの四番… 「三鷹!三鷹!」 「甲欄!甲欄!」 両チームの耳をつんざくような声援、それもそのはず、これに勝てば全国大会に出場できる。 「ドクン…ドクン」 一弥の心臓の高鳴りは最高潮まで達した。 「横浜………スタジアム」 心の中で唱えたその言葉は、この三鷹の目標であり、合い言葉でもあった。 そして腕を掲げ、脚を思いっきり引き上げた。 その瞬間、まるで球場全体の時が止まったかのように辺りは「シー…ン」と静まりかえる。 渾身のボールを投げるために一弥は、脚を大きく踏み出し、腕を思いっきり振り抜いた。 腕を滴っていた汗は、ボールの縫い目を沿うようにしてボールを………… 湿らせていた。
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