歌姫と森

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   目の前の桟橋を目視できたが、ここで珍しい事件が起きた。   「レアエンカウントモンスター!?」    桟橋の前で徘徊していた巨大な猪。    その大きな体に刻まれた傷からは、弱肉強食の世界を生きながらえてきた風格を思わせ。    口から飛び出す2本の牙は、貫かれれば致命傷は免れないであろう白き光沢を放っていた。     ――――ッギャヒィィン!!    高らかな咆哮。牙をこちらに向け、容赦のない体当たりを仕掛けてくる。   「おっと!!」   「当たりませんわよ!!」    二人同時、左右別々に避ける。   「牙墜撃!!」    拳闘士特有の素早い切り返しで横の視覚に着いたレイナの攻撃。    両手を牙の如く、猪の横腹に喰わせるが、ダメージは低いようだ。    その間に、ライトは猪の背後へとまわる。   「―――ッくぅ!!硬い!!流石レアエンカウントモンスターですわね!!」    レイナは両手をプラプラと振るいながら、その場から早々に退く。   「でぇぇぇや!!」    背後に周りこんだライトは、木刀に十分力を溜め振り下ろした。    ゴッ!!っと鈍い音と共に、木刀は弾かれた。
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