光と歌姫

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       究極の選択だった。    無機質な自分の感覚のまま、時は30分以上経過している。    目の前にあるのは簡単な二択。   『性別を選んでください』      間違いはない。僕は男だ。だからこそ、もう一つの選択に悩むのだ。    きっと今頃、ハチ公の前で玲奈【れいな】は待っているのだろう。約束の時間はとっくに過ぎている。   「…………お…女!!」    とうとう言ってしまった。禁断の園に土足で踏み込んだ気分である。    無機質な身体は徐々に形を成していく。    手 顔 足 胴体    全て自分の身体とは違った感覚。    胸囲の膨らみ。自らの身体に興奮すらも覚える。   「名前は【ライト】」   『――登録完了しました』      光に包まれる。意識が徐々に遠のいていく―――。    まただ…また、あの声が聞こえる…    薄れる意識。その声は、記憶の彼方へと消えた。        光と歌姫 完
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