歌姫と森

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  「さて、こっちは終わったよ?ってあれ?」    レイナを見遣ると、まだ巨大ネズミ【ラッド】と戦闘をしていた。    レイナのレベルは18。攻撃力的にも、苦戦を強いらさせるはずはないのだが…。   「ん?あぁ、ごめんなさい。【ハーフダメージ】を付けてますの!」   「えぇ!?遊びすぎだよ…」    【ハーフダメージ】とは、装備具に付属される特殊なスキルで、敵に与えるダメージを半分に制限するデメリットスキルの事。    無論、デメリットスキルなので、好き好んで装備する人も少ないのだが…   「では、すぐに終わらせますわ」    レイナはそう言うと、拳を強く握り飛び出した。    一閃のような一撃を、ラッドの横腹に当て、隙を生む。    ライトターン。   ―――タ、タンッ!!    リズムよく足を回転させ、その回転力を乗せた鋭い拳を、下から上へ上げ、ラッドを浮かせる。   「沙残拳!!」    空中のラッドに向けて、微かな残像を残すほどの拳のラッシュを浴びせる。    生々しい音に交じり、ラッドの骨の割れる音すら聞こえる。
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