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庭園、と呼ぶべきなのか、それとも、ただ公園の象徴とされる辺と言うべきなのか。
否めない部分は多少あるものの、世間で言う緑に囲まれた癒しを求められる存在である事には、何ら変わり無かった。
困惑ばかり感情が悩内で再生されるが、最早戸惑って堂々巡りするならば、それこそ時間を持て余すだけで、得する事は愚か骨折り損。
勿論、何故こうも焦っているのか、核心を突く最もな理由を志季は持ち合わせていない。――が、躊躇している暇など無いと、感覚的に悩から発せられる危険信号がそう告げている事は確かだった。
「――何っつーか、まぁ、随分と金の掛けられたもので……。 大体これ程にもなると、普通に冗談云々言ってられねーか……」
つまりは、それだった。
ある範囲内で施されている柵は、円を描くかの様、つらつらと縁取って危険性を降下させているのだが、よく見れば何処か構造が可笑しい。
高い音がよく反響しそうな、白い地面。加えて、柵も雪の如く真っ白で塗られ、ただ縦長に細い柱が取り付けられているのではない。――まるで西洋の文化を連想させる、目を引く凝ったデザイン。
所々、だが等間隔とは程遠い様々な大きさの隙間からは別の青が見え、白さ際立つ洋風を基調とした意匠が、巧みに取り入れられている。
装飾も、雰囲気も、空間全てが生々しい。今現在、自分は、何処か西洋化が進んだ中世時代で佇んでいるのではないだろうか――思わず、空間を越えて他国に足を踏み入れる時に似た計り知れない暗影を感じ、志季は一瞬の眩暈に見舞われた。
公園から踏み込んだ先で広がる、軽快で円やかな世界観を醸し出す背景。
見ず知らずの土地、そして無意識に引きずり込まれてしまいそうな、地に足を付けていないかの様な浮遊感を走らせる違和感に、此処へ来て初めて、何故か寒気立った。
此処までして、この様な状況を作る理由。そして故意に製作されたものならば、相当な資金調達が必要。無論、連れ添っていた友人に出来る代物ではない。――浮かび上がる、霧にまどろんだ犯人像。
「こんな所に連れて来やがって。……っざけんな。何をさせたいんだよ」
この、自分だけが無の虚室に放り投げ出された様な、理解するには何か一つ足りない、曖昧な感覚。
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