プチ家出

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母さんが進めていた足を止め、首だけをこちらに向けた。 「まだ何か?」 「…そういえば…お隣、明日人来るって聞いたわよ。」 「え?…」 「帰ってきたら片付けておくのよ。ふぁ~。」 突然のことだった。 くわえていた歯ブラシの間から唾が垂れた。 慌てて指で拭ったが、いろんなことが頭を巡った。 あの家が人の手に渡ったら、私は強制的に自宅に戻らないといけない。 元々勝手に侵入したのは自分だし、いつかはこうなると分かっていたが、なんというか…自分の居場所が無くなるというのはいい気がしない。 私…またウザイ夜に戻らないといけないの??
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