絶体絶命

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扉を開けると、フワリとした風が頬に当たる。 「気持ちいい~」 う~んと大きくのびをする。しばらくまわりの景色を眺める。学校の屋上からは町が一望できた。 「ここが私の住む町」 そんな風にしみじみ思っていると梯子を見つけた。あの上に行けば、もっと遠くまで見れる。 そう思った私は自然とその梯子を昇った。 カン、カン、カン、とん 「あれ、誰かいる」 てっきりここにいるのは自分だけだと思っていたので、人がいるのに少し驚いた。 けれどその人物はこちらに気付いていなかった。 それもそのはず、その人物は顔を新聞で覆っており、ゴロリと寝転がっている姿は昼寝中とも思える。 好奇心旺盛の私はおもむろにその人物に近づく。 「寝てるのかな?」 注意深く見ると、やはり寝ていた。
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