絶体絶命

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「どうして私、こんなことに」 「さぁな、強いて言うなら自分の不幸を呪うんだな」 その声は、凛として私に告げる。「お前は、死ぬ」と 「ちょっと待って、いきなりそんなこと言われても」 彼は勘違いしている。確かに私は、見てはいけないものを見てしまった。しかし、それはわざとじゃない。偶然見てしまったのであって、完全に事故だ。 すると彼は 「あぁ、そうだな確かにそうだ。いくらなんでもいきなり死ぬのは憐れだな」 「よかった、助かった」 私は、心の中で安堵した。 それも束の間 「10秒やろう。言いたいことを言っておけ」 「助かってない!!」 自分がいまだに、生きるか死ぬかの瀬戸際にいるのだと理解した。 どうする私、どうすれば 「後5秒だ」 そうしている間にも、カウントダウンは続く。 「私をどうするつもり?」 情けないことに、私が思いついたのは、時間稼ぎだった。 「私をここで殺せば、大変な騒ぎになるわよ?」 できもしないハッタリをかましてみる。
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