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昼休みもおわり、教室に戻る。
「遅かったじゃん」
私に気付いた里香が声をかけてくる。
「ちょっと用事があって」
本当はあの後、腰が抜けたせいでしばらく動けなかったなんて言えっこない。
「ふ~ん」
私の言葉に疑問をもたず里香はそのまま自分の席に戻っていった。
「とりあえず、私も自分の席に戻らないと」
私は自分の席に戻ろうとした、その時気付いた。
私の席は「彼」の隣だと
私が悩んでいると、彼と目が合う。
私は咄嗟に身構えた。
けれど彼はそのままふいっと視線を逸らした。
「あれ?」
私はてっきり何かされるのかと思ったが
そこで私は気付いた。
此処には人目がある。
幾ら何でもこんな場所で危害を加えるわけにはいかない。
現に彼は私に正体がバレたから私を殺そうとした。
その彼がわざわざ自分の正体を晒すような真似はしない。
つまり、教室にいるかぎりは安全だということになる。
そのことに気を良くした私は堂々と自分の席に向かう。
そして席についた私はわざとらしく咳をすると
「こんにちは、黒崎君」
自分を脅した人間に挨拶した。
「・・・・・・・・・・・・・」
挨拶された黒崎君はあからさまに嫌そうな顔をした。
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