協定

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彼は昼休みとは違い、町を眺めていた。 「来たか」 そういって彼が振り向く。 私はいつでもブザーが鳴らせるようポケットに手を入れる。 「どうして私を呼び出したの?」 言いながら私は彼の動きに反応できるよう身構える。 「お前に話があるからだ」 そういうと彼は腰に手を回す。 「っっ」 ポケットに入れた手に力が入る。 けれど彼は銃をこちらに向けず、地面に置いた。 不審に思った私に続けて話す。 「言っただろう、話があると」 「話し?」 私は少しだけ警戒心を解く。 「その通りだ、心配しなくとも危害を加えるつもりはない」 「本当に?」 「あぁ、本当だ」 その言葉が本当かどうかはわからないけど、信じてみることにした。 「話ってなに?」 私は彼に問いかける。 「昼休みのことだ」 「私がからかったこと?」 わかっていながらとぼけてみる。 「生憎、下らないことを話すつもりはない」 となるとやはりあの事件のことだろう。 「察しは付いているだろうが、俺は普通じゃない」 「普通じゃないって?」 「そうだな、一言で言うなら」「 彼は一旦そこで区切り、そして 「俺は殺し屋だ」
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