さようなら日常、そしてこんにちわ非日常

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「は、速いよ~。お兄ちゃぁ~ん!!」 「お前があんな余計な物付けるからこんだけ遅くなったんだろうが!!」 妹の手を引っ張って全力疾走する。 別に愛の逃避行という訳ではない。 さっきの会話から察っせるように、彼等は遅刻しそうになっているのだ。 現在時刻8時20分。 朝のHR開始8時30分。 ここから学校まで走って10分弱。 正直ギリギリだ。 「お兄ちゃん、後ろ!!」 「後ろ?」 この忙しい時になんだよ――と嘆息しながらも後ろを見る。 いかにも金持ちが乗っていると主張しているリムジンがあった。 それはこの道路には些か不自然過ぎる。 周りを通るのはトラックや軽自動車などの一般車なので、とても浮いている。 そのリムジンは将紀と悠と併走する。 中は見えないように窓は黒くなっている。 「精が出ますね将紀」 そのセリフと共に窓が下がっていく。 顔を出したのは長い金髪の女性。 同級生の『上之宮アリサ』だ。
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