さようなら日常、そしてこんにちわ非日常

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「思うんだが、無駄に金を使っているんじゃないか?」 リムジン内部。 お互い向き合う形の座席に座るのは将紀、アリサ。 悠はと言うと内側からは見える仕様になっている窓で外の光景を眺めていた。 「そこは気にしない方が良いですわよ」 先程の巨大マジックハンドの件も含めて言いたい事があり過ぎてツッコミすら入れる気にもならない。 深く追求するのは止めておく。 「お嬢様、学校に着きましたぞ」 「ありがとう高橋さん」 リムジンの扉が開く。 運転手――高橋さん――が運転席から開けてくれたのだと分かった。 「ありがとうございました」 「ありがとう~」 将紀と悠も礼を述べてからリムジンを降りる。 目前には正門に『聖宝高校』と書かれたプレートがある。 その向こうに大きな建物がある。 ここが彼らの通う学校。 将紀とアリサは2年、悠は1年である。 「ありがとうなアリサ」 送ってくれた件の少女にも礼をしなくては示しがつかない。 「別に良いですわ。  それよりも早く教室へ行きましょう」 「だな」 現在8時27分。 HR開始まであと3分なのだった。
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